
「ChatGPT を使ってみたけれど、思った回答が返ってこない」「Claude や Gemini を試しても結果が似たような感じ」と感じている方へ。
プロンプト(AI への指示文)の書き方には、再現性のある型 があります。専門書を読み込まなくても、5 つの型を覚えるだけでプロンプトの質は大きく変わります。
この記事では、ChatGPT・Claude・Gemini のいずれでも共通して効く 5 つの型を、Before / After の具体例つきで解説します。最後に 5 つを組み合わせた完成形プロンプト もコピペテンプレで置いておきます。
前提として、本記事の内容は LLM(大規模言語モデル) の振る舞いを踏まえています。「なぜプロンプトが効くのか」がピンと来ない方は先にそちらを読むと理解が深まります。
結論:プロンプトの 7 割は「5 つの型」で改善する
紹介する 5 つは次の通りです。
- 役割を与える:「あなたは○○です」
- 前提・背景を伝える:「○○の状況で使います」
- 出力形式を指定する:「○○の形式で出してください」
- 例を 1〜3 個見せる(Few-shot)
- 段階的に考えさせる:「順を追って考えてください」
順に Before / After つきで見ていきます。
型1:役割を与える ―「あなたは○○です」

なぜ効くのか
LLM は 文脈に応じて回答のトーン・粒度を調整する 性質があります。最初に「あなたは○○です」と役割を与えると、回答の前提が揃いやすくなります。
Before / After
Before
このメール、もっと良くしてください。
(メール本文)
After
あなたは経験豊富なビジネスメール編集者です。
取引先への謝罪メールとして自然なトーンで添削してください。
(メール本文)
役割と用途を明示しただけで、添削の方向性が大きく変わります。
NG パターン
- 「あなたは天才です」「あなたはなんでもできる AI です」のような 曖昧で大げさな役割 は効果が薄いです
- 役割は「具体的な職業・立場」で指定するのがコツです(編集者、エンジニア、先生、経験 10 年の営業など)
型2:前提・背景を伝える ―「○○の状況で使います」
なぜ効くのか
同じ「要約してください」でも、誰向け・どこで使う・何のために で正解が変わります。前提が抜けていると、LLM はもっとも一般的な回答に寄せがちで、結果として「あなたの状況」には合わない出力が返ってきます。
Before / After
Before
この記事を要約してください。
(記事本文)
After
この記事を、社内の経営会議で 3 分で口頭プレゼンする想定で
要約してください。経営層向けなので、技術用語は最小限にして
「ビジネスインパクト」を中心にまとめてください。
(記事本文)
入れるべき要素
- 誰向け(経営層 / エンジニア / 一般読者 / 子ども)
- どこで使う(プレゼン / 社内メール / 個人メモ)
- 目的(意思決定材料 / 知識共有 / 議論のきっかけ)
型3:出力形式を指定する ―「○○の形式で出してください」
なぜ効くのか
出力形式を指定すると、後工程(資料貼り付け、コード組み込み、別 AI への入力)が楽になる 効果があります。
指定の例
- 「箇条書きで 5 つ」
- 「3 列の表(項目 / 説明 / 注意点)で」
- 「Markdown で見出し付き」
- 「JSON 形式で
{ name, summary, score }のキーで」 - 「300 字以内で 1 段落にまとめて」
注意点
形式を 指定しすぎると本質的な内容が薄くなる ことがあります。「箇条書きで」と指定したら、説明的な文が削られて表面的な内容になった、というケースです。形式と内容の充実度はトレードオフになり得る、と頭に置いておくと調整しやすくなります。
型4:例を 1〜3 個見せる(Few-shot)
なぜ効くのか
人間に仕事を頼むときと同じで、「こんな感じ」というサンプル を示すと、出力のスタイル・粒度が安定します。これは Few-shot prompting(少数の例で学ばせる手法)と呼ばれます。
Before / After
Before
商品レビューをポジティブ/ネガティブで分類してください。
レビュー:思ったより薄くて、コーヒーが冷めるのが早かった。
After
商品レビューをポジティブ/ネガティブで分類してください。
例 1:「色合いが綺麗で、毎朝の気分が上がります」→ ポジティブ
例 2:「数日で取っ手が外れた。買って後悔」→ ネガティブ
例 3:「サイズはぴったり。期待通りです」→ ポジティブ
レビュー:思ったより薄くて、コーヒーが冷めるのが早かった。
例を 2〜3 個見せると、分類の基準が読みやすくなります。
例の選び方
- 極端な例より代表例 を選ぶ
- 入力 → 出力 のペアで示す
- 1 例より 2〜3 例の方が安定 することが多いです
型5:段階的に考えさせる ―「順を追って考えてください」
なぜ効くのか
複雑な問題を 一気に答えさせるより、段階を踏ませた方が正答率が上がる ことが知られています。Chain of Thought(思考の連鎖)と呼ばれる手法です。
Before / After
Before
A 社(売上 1.2 億、利益率 8%)と B 社(売上 9000 万、利益率 12%)、
うちが買収するならどっち?
After
A 社(売上 1.2 億、利益率 8%)と B 社(売上 9000 万、利益率 12%)、
うちが買収するならどっち?
順を追って考えてください。
まず両社の利益額を計算し、次に成長余地、最後に統合コストを
考慮した上で、結論を述べてください。
効くタスク / 効きにくいタスク
- 効くタスク:複雑な推論、複数条件の判断、計算を伴う問題
- 効きにくいタスク:単純な事実検索(「日本の首都は?」など、考えても答えが変わらないもの)
5 つを組み合わせた「完成形プロンプト」例
ここまでの 5 つを すべて盛り込んだプロンプト はこんな形になります。コピペして応用してください。
あなたは経験 10 年のビジネスメール編集者です。 ← 型1:役割
社外取引先へのお詫びメールを添削します。 ← 型2:前提
読者は法人顧客の窓口担当者で、関係を継続したい相手です。
以下の形式で出してください: ← 型3:出力形式
1. 修正版メール本文(300 字以内)
2. 主要な変更点を 3 つ箇条書き
参考: ← 型4:例示
- 弊社の遅延 → ご迷惑をおかけしました
- すみません → 心よりお詫び申し上げます
進め方: ← 型5:段階思考
最初に元メールの問題点を洗い出し、次に修正版を提示し、
最後に変更点を整理してください。
【元メール】
(ここに添削対象のメールを貼り付け)
このフレームに沿えば、業務プロンプトの 7 割は安定して書けるようになります。
それでも上手くいかない時のチェックリスト
5 つの型を当てはめても期待通りにならない場合、以下を試してみてください。
- プロンプトが長すぎないか:長文すぎると逆に精度が下がることがあります。要点を整理して短くしてみる
- 質問が複数混ざっていないか:1 プロンプト 1 質問が基本。複数なら分けて投げる
- モデルの最新版を使っているか:旧モデルでは性能が劣ります。プランや設定を確認する
- 別のサービスで試してみたか:Claude が苦手な質問でも ChatGPT で通るケースはよくあります(3 サービスの違い を参考に)
まとめ ― 今日から使える 5 つの型
最後にもう一度、5 つの型を整理します。
- 役割を与える(あなたは○○です)
- 前提・背景を伝える(○○の状況で使います)
- 出力形式を指定する(○○の形式で出してください)
- 例を 1〜3 個見せる(Few-shot)
- 段階的に考えさせる(順を追って考えてください)
5 つを覚えておけば、ChatGPT・Claude・Gemini のどれでも応用が効きます。まずは今扱っているプロンプトに 1 つずつ足してみるところから始めてみてください。
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